浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1001話

中郡組 浄源寺 森 丹山

さて、みなさん、お念佛をどうしてお唱えするのでしょう。私達は、南無阿弥陀佛とお唱えすると、いつかこの地上を去る時に、阿弥陀様がお浄土からお迎えに来て下さり、そして、その極楽浄土で救われ安心して佛になる為の修行ができると教えられ信じています。
 しかし、今回は角度を変えて、お念佛のもつ違う側面をお話してみましょう。
 村上和雄さんという遺伝子学者の方が、面白い本を書いています。
「人は何のために祈るのか」という本ですが、その中で、祈る事によって細胞が活性化しよい遺伝子の働きを促す、と言っております。人間の体は60兆の細胞からなっていて、常に生まれては死に日々再生されているそうです。そして、遺伝子の働きによって、細胞があらゆる臓器に変わっていきます。ところが、その遺伝子自体が97・8%位は休眠しているというのです。そこで、村上先生曰く、眠っているよい遺伝子のスイッチをONにするためには、強い願いや祈りが一番有効だとおっしゃるのです。病気になれば良くなりたいという願い、この仕事をどうしても成し遂げたいという思いが、必ずやよい遺伝子を目覚めさせるというのです。昔の人は「一念天に通ず」と申していましたが、体験的に感じ取っていたのでしょう。
 さて、究極の心の状態は無心です。そして、無心のお念佛は尊いです。お唱えすることによって、呼吸も整い心も落ち着く効果もあり、爽やかな気持ちになります。それは、たぶん、細胞が活性化しているからなのでしょう。日々の生活の中で、強いストレスを受けやすい時代です。お念佛は場所を選ばず、どこでも、いつでもできる簡単な行です。より深い仏教を学ぶ事も大切ですが、しかし、まずは生活の中で一心に「ナムアミダブツ」とお唱えしてみてはいかがでしょうか。
 次回は5月21日にお話がかわります。