浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1016話

港南組 正應寺 石川 基樹

浄土宗神奈川教区テレホン法話第1016話、今回は煩悩についてお話します。私たちは色々と悪いことを考えたり、しりするものではないでしょうか。どのような人でも自分のことを反省してみると、人間の悪い部分を感じずにはいられません。この悪い部分を仏教では三毒といい三つの大きな煩悩として捉えています。三つの大きな煩悩はそれぞれ貪・瞋・痴といいます。一つ目の貪はむさぼりの心です。人間は自分の利益になるものがあるとそれに食いつき、これで十分だとなかなかならないものです。二つ目の瞋は怒りの心です。人間は嫌なことがあるとすぐに怒ったりするものです。三つ目の痴は愚かさです。人間は迷いを捨てられずしてしまったことを後で悔やんだりするものです。こうした三毒といわれる大きな煩悩は簡単に捨て去ることなどできないのです。それで、自分のような浅ましい人間はとても救われることなどないと疑ってしまうことにもなりかねません。しかし、浄土宗の宗祖法然上人は「罪人なりとても疑ふべからず、罪根ふかきをもきらわずとの給り」とおっしゃっています。このお言葉は、罪人だからといって阿弥陀様の救いを疑ってはいけない、どれほど愚かで怒りっぽい、また欲の強い人でも、阿弥陀様はいやだとおっしゃっていないということです。もし煩悩の捨てきれない人は救われないというのであれば、ほとんどの人が救われないで迷ってしまうことになります。阿弥陀様によってどのような人間も救っていただけるということは本当にありがたいことです。私は自分のことを少しふり返ってみてもこのように思います。このご慈悲をありがたく受け取りお念仏することが大切ではないでしょうか。次回は、10月21日にお話が変わります。