浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1064話

一年で最も寒い今の季節、夜空を見上げると星がとても綺麗に瞬いています。
それら星の研究の一説には、巨大な彗星が何年かの後、地球に衝突するかもしれないと言われているそうです。そして、その場合には地球が滅んでしまうだろうとも言われているそうなのです。私はその話を聞き、とても驚きました。また同時に、その話を聞いたある人は、彗星が衝突する寸前になって初めて人類が戦争や醜い争い事を止め、世界中に平和が訪れるのではないかと言ったそうです。なぜなら、言うまでもなく地球も人も全てが滅んでしまうから戦争や争い事をしていてもしょうがないということなのです。とても悲しい話です。
浄土宗をお開き下さった法然上人は、幼き日お父様を、敵の夜襲によって亡くされました。幼い法然上人はどんなに悲しく、苦しく、悔しかったことでしょう。普通の人なら、仇に復讐をしてしまうかもしれません。しかし、法然上人は父の仇に復讐をしなかったのです。なぜなら、それは自分が復讐をすれば、また相手の家族に恨みを買い、その家族が自分に復讐をする。そのような憎しみ合いが永遠にくりかえされてしまうと考えられたからだそうです。そして、その後法然上人は出家をされ、浄土宗のお念仏の教えをお示し下されたのです。とても立派な考え方だと思います。
もう皆さんはお気付きだと思います。人類は彗星が衝突する寸前まで戦争や争い事をし続けるべきなのか。それとも、その前に法然上人のように争うことを止め、人類の幸せを望む考え方をするべきなのか。現在も世界中いたるところで人類同士の争い事が絶えません。我々の住む日本、あるいは我々の身近な社会、家庭においても例外ではありません。我々は、そのような時、是非夜空の綺麗な星を見上げ、地球の平和、人類の平和、社会や家庭の平和を願いつつ自分自身の心を静め、法然上人のお説き下さったお念仏をお唱えしましょう。

次回は2月21日にお話がかわります。