浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1065話

延命寺 當間伸行

2月も半ばを過ぎましたが、28日は何の日かご存じでしょうか?浄土宗では、この日を「鎮西忌」(ちんぜいき)と定めています。
鎮西忌とは、聖光坊弁長(しょうこうぼうべんちょう)上人のお命日のことです。聖光上人は鎮西地方、現在の九州北部にお念仏をひろめたことから鎮西上人とも呼ばれ、宗祖法然上人に続く「第二祖」と敬われています。
聖光上人は1162年、現在の福岡県の武士の家に生れ、のちに仏門に入り、38歳の時から6年にわたり法然上人にお仕えになりました。
法然上人がお伝えになったお念仏のみ教えとは、「南無阿弥陀仏と一声でもお称えすれば、最期の時には、必ず阿弥陀様が極楽浄土へすくい取ってくださる」ということです。
しかし、その教えを勝手に解釈し、お念仏を称えれば必ず救われるのだから、一回称えればじゅうぶんだ、あるいはお念仏は称えれば称えただけ御利益がある、などと言い出す人たちが現れました。これを憂えた聖光上人は、ご自身が法然上人からお聞きしたことを、主観を交えずに書物にまとめられました。これを『末代念仏授手印』(まつだいねんぶつじゅしゅいん)といい、浄土宗の大事な経典のひとつです。ほかにも重要な書物をいくつも著され、1238年、77歳でお亡くなりになりました。
聖光上人が正しく伝えようとした法然上人のみ教えとは、「ただ一向に念仏すべし」です。浄土宗における、修行や心の持ち方は、全て「南無阿弥陀仏」とお念仏をお称えすることにつきるのです。
お念仏を一声でも称えれば、阿弥陀様がおすくいくださいます。 しかし、阿弥陀様とお念仏の尊さを常に身近に感じるためには、お念仏をおとなえし続けなければならない、と法然上人はおっしゃっておられます。
今年は、法然上人の800回目のお年忌にあたります。法然上人のお念仏のみ教えは、聖光上人をはじめ、大勢の方々の力によって今日に伝わっています。私たちも日々お念仏をおとなえし、子孫に伝えていきましょう。