浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1067話

上り、下り

私たちは生きている間、すでにいろいろ感じ、身の周りの何かしらの出来事によって気持ちが変わる毎日を過ごしています。楽しいこと、悲しいこと様々ですが、それを人生の上り、下りとして表して見ますと、上りとは、すること、なすことが順調な状態であり、下りとは不運、不幸が重なる時と言えるでしょう。
人生の下りの時には、なかなか自分の姿が見えないものです。
一度立ち止まって自分の心を覗いてみたいものです。
何の苦労もなく生きていくのが幸せかもしれませんが、人生は、生まれてきて、そして老いていく、病気をして、死んでいくという生老病死の四つの苦しみ、愛しい人と別れていく苦しみなどを経験し、はじめて人生というのが分ってくるものです。
苦しみ、悩みというものは月日が経っていきますと、すべてが楽しい、懐かしいというような思い出となっていきます。私たちの受け取り方が変わっていく、心を育てて頂いているからです。
それらを阿弥陀様からのお慈悲であると受け取めさせていただくと、おのずからお念仏が口から出てまいります。
どんな苦しみ、悩みに出会っても、そんな私たちだからこそ阿弥陀さまがお慈悲を与え、南無阿弥陀仏と申している我々の声を漏らさず、救ってくれるのです。