浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1070話

このたびの地震、大津波で被災されました皆様には心よりお見舞い申し上げ、命をなくされました方それぞれの皆さまにお念仏申し上げます。
信じられない惨事に私どもはただただ言葉を失います。そして今だに行方がわからない方が大勢いらっしゃる。そのご家族、ご親戚、ご友人の皆様に何の声もかけられない思いです。大切な方をなくされました方は、どうこの死を受け止めてよいのかとただお嘆きになるばかりかもしれません。
そうした皆様は是非、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏とお念仏の回向をしていただければと思います。どうぞ阿弥陀さま、救いとって下さいの思いで、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏と称えるだけでよろしいのです。
阿弥陀さまという仏様は、念仏称えるものをかならず阿弥陀さまのお浄土、西方極楽浄土へお連れ下さいます。亡くなられた方を救いとって下さいと念仏の声を届ければ、阿弥陀仏が光明を放って、その方を救いとっていただけます。
このたびのように、悲しくも離れ離れになってしまった方、行方すらわからず胸がはりさけそうな思いの方など色々いらっしゃると思いますが、南無阿弥陀仏で必ず極楽浄土で会うことだけは確実なのです。いるところすらわからないと苦しい思いの方も、念仏でつながるのだと信じていただければと思います。
法然上人がおかくれになってから八百年という月日がたちますが、まことにその八百という数字に生きた信仰があると思います。こんな時だからこそ、ただ念仏を称えなさいとお諭しくだされた法然上人のみ教えは、いつ何がおこるかわからない無常の世を生きる一方、何一つできないこの私を救ってくださる究極のみ教えなのだとうけとらせていただきましょう。