浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1099話

港南組 神浄青 小川真弘

仏教を開かれましたお釈迦様は、この世に生きるすべての人が、実は毒の塗られた弓矢が体にささって苦しんでいる瀕死のけが人のようなものだ、と教えられました。私たちの命は限りあるもので、いつ何時失われるか分かりません。今こうしている間にも、生きることにまつわる苦しみは絶え間なく襲ってきます。しかも、自分自身の力ではこの苦しみの原因をつきとめて、断ち切ることができない。これが私たちの現実でございます。悠長に構えている時間はなく、誰かの力を借りて今すぐに治療に取り掛かる必要があるのです。
お釈迦様はそんな私たちの苦しみを取り除くために、多くの教えの中から適切な教えをひとつ選んで、お弟子さんに託されました。それが、皆様がご縁を結ばれている浄土宗のお念仏の教えでございます。ただ南無阿弥陀仏とお念仏をお称えすることだけで、阿弥陀如来様のお導きによって安らかな極楽浄土に生まれ変わり、すべての苦しみを乗り越えることができる。私たちには限られた寿命しかありませんので、今すぐにこの身このままで実行できるお念仏という修行が必要です。それぞれの能力にも限りがありますので、阿弥陀如来様の量り知れないお力をお借りすることが必要なのです。
お医者さんが病気や怪我に応じて薬を処方してくださるように、苦しみを取り除く専門家である仏さまご自身が、選び与えて下さったお念仏の教えでございます。これからは毎日、南無阿弥陀仏とお念仏をお称えするように致しましょう。

次回は2月11日にお話がかわります。