浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1111話

後悔先に立たずという、ことわざがありますが、これは事が終わった後でいくら悔やんでも、手遅れで取り返しはつかないという意味であります。皆様も人生において後悔をした経験は少なからずあるのではないでしょうか。
終末期医療の専門家である 大津秀一氏が「人生死ぬ時に後悔すること25」という本を書いております。1000人以上の方々の死を見届けてきた著者が、患者との会話を通じ、人々が後悔を感じる内容にはそれ程、多様性がないことに気づき、それではその後悔の内容を前もって紹介し、元気なうちから後悔しない、生き方をしてもらおうと書いたのがこの本であります。
その本の中で後悔することとして、「神仏の教えを知らなかったこと」をあげております。人は自分の死を目前にして、地位の高い低いは全く関係ありません。社会的に大成功をおさめていた立派な社長が今輪の際において、泣き叫んだりする。また逆に普通に見える人が全く動じない人であったりするそうです。
そういう状況になると、宗教を信じてこなかった事を後悔して急いで特定の宗教に帰依する人が多いそうであります。
人間は行き先のはっきりしない状況を前に非常に強い不安と恐怖を感じるということなのです。
私達は臨終の時に臨んで後悔しないように、仏教の教えに学ばなければなりません。
浄土宗を開いた法然上人はお念仏の教えを人々に広めました。南無阿弥陀仏と称える事で、阿弥陀様の大いなる慈悲の光明を受け、極楽浄土に往生する事が出来るのです。それはまさに赤ん坊が、おギャーと泣けば、その声に応えて、抱き上げてくれるのと同じであります。赤ん坊にとって母親の懐ほど、安らかで、幸せなところは無いのです。また私達にとって、阿弥陀様の懐ほど、安心して暮らせる場所は無いのです