浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1112話

ある時お釈迦さまが、大勢のお弟子を集めてお話をされました。途中ふと腰をかがめ、足許の土を右手に一握りつかみました。そして左手の親指をだして、爪の上にサラサラとその土を落とされました。殆どの土が下に落ちてしまいましたが、ほんの僅かの土が残りました。その左手を、横におられた、阿難尊者に示されて、「阿難よ、この爪の上の土と、大地の土と、どちらが多いか」と聞きました。言うまでもありません。阿難は即座に答えました。「大地の土が多うございます」するとお釈迦様はにっこり笑って爪の上の土をお弟子に示しながら、「皆の衆よ、阿難が答えた通り、大地の土は多く、爪の上の土は少ない。かくの如く、この世に生を受けたものは、大地の土の如く多いけれど、その中にも人間に生まれたことは、ちょうど爪の上の土の如く極めてまれである。」とまず人間として生まれたことの尊さを教え、人間に生まれたからこそ、仏の教えに会うことが出来たのであると諭されたのです。

私達がいるこの人間界は六道輪廻の苦しみの世界であります。
六道とは地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天とありますが、 生前の行いにより、この6つの世界の何処に行くか決まるのです。仏教はこの輪廻の世界から離れる事が目的なのです。

ですから法然上人は、誰もがこの輪廻の世界を離れ極楽浄土に往生出来るように、お念仏の教えをお示しくださったのです。

南無阿弥陀仏と称えることで極楽浄土に往生することができます。と言うと中には来世ではなく、現世での御利益はないのか、とおっしゃる方がおりますが、臨終のゆうべには必ずや極楽浄土に往生する事ができるという、絶対安心の境地に至ることで、現世での生き方に勇気が湧き、不安なく、自分の使命に生きることができるのであります。是非、そのような心持でお念仏をお称えしてみては、いかがでしょうか。