浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1146話

京浜組 善養寺 古庄良如

六月も半ばが過ぎ、暑い日々が続いていますね。こんな日に思うのは、涼やかな水面に咲く、美しい蓮のことでございます。蓮の開花時期は六月の中旬から 八月下旬ごろですから、ちょうどこれからが見頃の時期ですね。
 さて、蓮の花。実は 皆様のお宅にもきっと一輪は咲いていると思うのですが、どこに咲いているか、ご存知ですか?・・・正解は、ご仏壇の中。阿弥陀様のお乗りになっていらっしゃるのが実は 蓮台、という蓮の花を象った台なんですね。
 では、何故 仏様は蓮の上にいらっしゃるのでしょうか?それは、蓮の花が 泥の中より出で その中で育ちながらも、決してそれに染まらず、穢れない花を咲かせる事から 仏様の象徴として考えられているからです。ですから、仏様は、蓮の花の上にお生まれになります。それは、私たちの元を離れ往生された、皆様の大切な方々も同じです。今は美しい蓮の上から、皆様を見守りながら 日々、過ごしていらっしゃる事でしょう。
 『先立たば おくるるひとを 待ちやせん はなのうてなの なかばのこして』
 私が先にお浄土へと旅立ったならば、私のお隣を貴方の為にご用意して お待ち申し上げておりますよ。……これは有名な法然上人の蓮のうてなのご詠歌でございますけれど、この中の「花」というのは「蓮の花」を示しているんですね。
 亡き方は私たちにお浄土から 慈しみのお心を傾けて下さっています。そしていつか来る私たちを思って 自らのお隣をあけ、今日も精進されて居られるのです。本当に 有り難いことですね。
 亡き方と仏様を念じて、どうか今日も心穏やかに お念仏の日々をお過ごし下さいませ。

次回は7月の始めに お話が変わります。