浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1155話

鎌倉組 正光寺 伊香輪一暁

今年も異常気象が続いています。夏は大変暑く、高知四万十市では国内観測史上最高の41.0度を記録しました。一部地域では過去に経験のないような豪雨がふり、局地的な大雨も目立ち、今まで大きな被害にあってない地域にも被害が及びました。秋になり台風の被害も甚大です。このような災害で突然いのちを失われた方、愛する人、親しい人と突然の別れを経験された方それぞれの皆さまに心よりお念仏申し上げます。
 愛する人、親しい人との別れは大変辛く寂しいものです。これを四苦八苦のひとつ、愛別離苦といいます。四苦八苦とは人が生きていく上で逃れることが出来ない苦しみが4つないしは8つあるという意味です。生まれることの苦しみ、老いてくことの苦しみ、病気になる苦しみ、死ぬことの苦しみ。愛する者と別れる苦しみ、怨み、憎む者と出会う苦しみ、求めても得られない苦しみ、肉体の生きる上での苦しみ。これらを四苦八苦という一言にまとめております。
 私たちはこの苦を経験することにより、この世が無常であることを知ります。法然上人は、この苦しみの中にも阿弥陀さまのお心である慈悲の光明が私たちを照らして下さって、南無阿弥陀仏のお念仏をお称えすれば苦しみの中でも正しい道に導いて下さる、そして極楽浄土という苦しみのない世界に導いて下さるとお示しくださっています。阿弥陀さまはいつでも私たちのそばにいて、すべての人を救い、ともに病み、ともに悩む大慈悲の心で見守ってくださっています。
 世は無常、苦であることをしっかりと受け止め、生きていることをあたりまえと思わずに、今日ここに生きていることの有難さ、かけがえのなさを感じ、南無阿弥陀仏とお念仏をお称えして一日一日を大切に生きていきましょう。

 

次回は11月の中頃にお話が変わります。