浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1160話

三浦組雲光寺 慶野 匡文

 今月二五日は、法然上人の御命日、八〇三回忌にあたります。
 法然上人のみ教えは誰もが平等に救われていく教えです。二度と苦しみの世界に落ちることなく未来永遠に救っていただける教えですので、ただ、阿弥陀仏を信じ、救っていただくことを願って、真実の心で南無阿弥陀仏と称えていくだけなのですと上人はお示し下さいました。称えるほどに阿弥陀仏は光明を放って、私どもを照らして、日々守り導いて下さるのです。そして、この私がこの世での命を終える時、迎えて下さる。つまり、念仏のみ教えは、死んだあとのことでなく、今をどう生きるかという教えなのです。
 昨年漫画家のやなせたかしさんが九十四歳というご高齢で亡くなられました。多くの方に愛された「アンパンマン」の生みの親でありますからご記憶の方も多いと思います。このアンパンマンというアニメは世代を超えて愛され、キャラクターとしても人気第一位なのだそうです。子供が生まれ、赤ちゃんの頃から、絵本やら、おもちゃやら、お菓子やらテレビアニメでアンパンマンと親しみ、中には遊園地や催事場などでアンパンマンショーを見られた方もあるかもしれません。子供からおじいちゃん、おばあちゃんまでみんなご存じのスーパーアイドルといえましょう。
 その、やなせたかしさん、アンパンマンを生んだのは五十代も半ばを過ぎてからだそうです。それまで売れなかった時代の話を自ら語っておられましたが、「一寸先は光」という言葉を心の支えにしていたそうです。「一寸先は闇」という言葉はありますが、「闇」を「光」に変えて、一寸先は闇でもその一寸先には光があるという言葉にして日々暮らしていたというのですから、なんともお人柄がうかがえます。その言葉からアンパンも生まれたのですね。
 念仏をお称えしている者にとりましては、まさに「一寸先は光」であります。確かに、災害やら身体の変調やら辛いこと悲しいことの連続ですが、阿弥陀仏に守られ、導かれる、念仏相続の日々は、この先、光がますます差し込んでくることが決まっているのであります。どうぞ、阿弥陀仏を信じて、ひたすら南無阿弥陀仏と称える毎日にし、この先、ますます光明に欲せる身であるよう、ただ一向にお念仏を称えて参りましょう。
※次回は二月の始めにお話しがかわります。