浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1167話

京浜組東明寺 吉岡 了英

 近年、犬などのペットを連れて旅行や買い物をする方をよく目にします。ペットブームは終わったとはいえ、日本でペットを飼っている世帯は、犬猫だけでも全世帯の25%ほどもあるそうです。私の家でも犬を飼っており、犬は家族が出かけるとき、その一時の別れを心から悲しみ、帰宅したときは体全体で再会を喜んでくれます。何か辛いこと、悲しいことがあつたときも、そばにいてくれるだけで精神的な安らぎ、癒しを与えてくれ、心を豊かにしてくれる存在であります。
 そんな家族の一員として、一緒に暮らしてきたペットを亡くしたときの悲しみは、とても大きいものです。お盆の時期、棚経でお檀家さんのお宅へお邪魔したときのことです。いつも玄関を入ると1匹のわんちゃんが大きな声で出迎えてくれていたのですが、今日はわんちゃんがいません。お話を聞くと病気で死んでしまったとのこと。涙を流しながら、色々お話をしてくださいました。そのお話のなかで、「犬猫などの動物は、極楽浄土に往生できるのでしょうか?」ということを聞かれました。
法然上人のお言葉に、
私たちが阿弥陀様にお念仏を回向すれば、地獄、餓鬼、畜生に堕ち込んでいる方でも、阿弥陀様がその思いを汲み取って、その境涯のものたちに光明を照らしていただける。そして、その世界の寿命が尽きた後に、お浄土に迎え摂ってくださるのです。
とあります。
 この娑婆世界において、犬や猫などのペットとして生まれてきた動物も、私たちの心からのお念仏の回向を阿弥陀様に届ければ、阿弥陀様が愛おしいペットをしっかりと救い導いて下さるのです。

次回は5月の中頃にお話がかわります。