浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1187話

近年では、人がお亡くなりになり葬儀を出す際、直葬・家族葬といった簡略化がみられるようになり、また樹木葬・散骨など、まさに宗教離れ・仏教離れと言われるようになりました。
現代の情報化社会において、人々の物の価値観に変化が生じたことや、生活が豊かになり個々の生活スタイルが多種多様化したことも原因としてあげることも出来るでしょう。
しかし、大切な人・愛する人を亡くした時の悲しみや寂しさという様な人の心は、時代が変化をしても変らないものだと思います。そのため時代に沿って多少形が変わったとしても、亡くなられた大切な人に対して冥福を祈り、供養を申し上げるのであります。
菩提寺をお持ちの方や、お寺にご縁のある方の周りで不幸があると、葬儀から始まり初七日・四十九日、百か日忌や一周忌と、一年を通して様々なご法事の機会に見舞われます。四十九日は忌明けとされ、地域によっては故人をお墓へ納骨することが多いでしょうし、一周忌は喪明けとされ、何より故人の命日よりまる一年の機会ですから、大切な節目であります。またその後も慣例でいえば、三回忌・七回忌・十三回忌と少しずつ間隔を設けたご法事があります。
三回忌以降のご法事のことを年忌・回忌法要とも申します。回忌とは回すという字に忌まわしいと書きますが、この忌まわしいという字は、己と心という文字が重なり出来ています。よって回忌とは己の心をご先祖様、回忌を迎えた故人様に対して回し向ける機会であるといえます。
またご法事というのは、ご先祖様をはじめとする縦の繋がりと、故人とゆかりのある家族兄弟はもちろん、親戚や友人といった故人に対し同じ思いをもつ横の繋がりを確認する機会でもあるといえます。
その中で南無阿弥陀仏とお念仏をもってご先祖様や回忌を向えた故人様に、供養を申し上げつつ、いつの日にかの再会をお約束し、また家族・親戚たちと繋がりを感じてもらい、お念仏を心のよりどころとし、一日一日を大切にお過ごしいただければ幸いに存じます。

次回は三月の中頃にお話がかわります。