浄土宗神奈川教区テレホン法話 第685話

 みなさん今日は。8月に入り夏まっ盛りという頃ですね。さて、8月は「おぼん月」で、なつかしいご先祖さま方、先に亡くなられた方々が皆さんのところに戻ってきてくださると考えられています。それが郷里の本家や実家であったりすることもあります。そこで過去・現在のみんなで楽しく時をすごすのだという、実に床しくもなつかしい、そして敬虔な仏教行事だと思います。
 そこで、ご先祖さま方やなつかしいあの方をおむかえするためにいろいろな準備をします。これは、私たちがお客様を家におむかえするのと同じ心構えでするわけです。第一にご先祖さまがお休みになるお部屋・・・つまり仏壇・・・をお掃除し、次にごちそうや座布団などの準備をします。それが、お盆のお飾りとお供えです。お仏壇の前に小さな机を用意してそこにお飾りをしますが、仏壇前のし小さなスペースでもかまいません。それぞれの都合で良いのです。机の上にまこものゴザを敷き、季節の花やなりもの、笹などで飾ります。おだんご13個を作って皿に盛り、洗い米とさいの目に切ったナスで「水のこ」を作り、蓮の葉に水を入れてそなえます。キュウリの馬に乗って一刻も早くいらっしゃってください。お浄土へのおかえりはナスの牛ですこしでもゆっくりとお帰りください。というように本当にご先祖さまをなつかしみ歓迎する心をあらわすのです。
 さて、こうして準備が整いますと、お墓やお寺におむかえに行きます。昔はちょうちんにお寺で火だねをいただいてその明かりでお客様の足もとを照らしてご案内したのです。こうしておむかえしたご先祖さま方は、家族・一族をともにゆっくりとお盆中をすごされ、送り火に送られて、またお浄土にお帰りになるわけです。
 この床しきお盆行事を単に慣しだからと形式的にすることなく、心からご先祖さま方のみたまのご供養につとめ、この期間、身近にご先祖さま方を感じることによって、ご先祖さま方とのつながり、一体感を深めていただきたいと思います。

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