浄土宗神奈川教区テレホン法話 第690話

 最近の日本の世情は、価値観の多様化が進み、杜会生活やこじんの日々の暮らしの中にもいろいろな問題が生じたり、心の安定が難しくなっております。「物で栄えて、心で滅びる。」とさえ指摘されています。生活の向上や、便利さが進んだ反面、人々の心が荒廃していくことが心配されます。
 思いやりや、殺伐とした心を清め、人間の豊かな心を育てる事の必要性が強く求められてきています。
 昔の諺に「籠に乗る人、担ぐ人、その履く草鞋を作る人」とあります。これは人の生き方を表しているだけでなく、人は皆それぞれ社会を作っている担い手です。また、いろいろな立場や、違った仕事をしていても、それぞれ大切な役割を受け持ち、杜会全体を動かしている事を示しています。一見、自分だけが日のあたらない仕事をしているとか、恵まれない苦労が多いと思うことがあってもよくよく考えてみると、その苦労が自分を鍛え向上させているに違いありません。
 法然上人の御法語の中に、「たとえ一代の法をよくよく学すとも一文不知の愚鈍の身になして。」
と述べられております。現代人はあまりにも手だてや、功利的な面に囚われすぎて、本来のあるべき姿を見失いがちではないでしょうか。
 私達一人一人は、地球よりも重いと言われる命をさずかり、天地先祖一切のおかげを頂いて生かされていることに感謝し、一日一日を大切に、南無阿弥陀仏とお称えして暮らして参りたいものです。

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