浄土宗神奈川教区テレホン法話 第724話

 私は念仏寺の住職をしております西井と申します。。今回のお話しは寺号であります念仏寺にちなみまして、お念仏を称えながら修行をする礼拝行と、その時に用いる数取器という浄土宗に古から伝わる計算器をご紹介しながら進めて参りたいと思います。
 今日では、計算器と申しますとすぐ電卓となりますが、どのご家庭でも2,3台はご用意がされていることでしょう。私の小、中学生のころは、もう40年も前でありますが、ソロバンの全盛期でございました。この数取器なるものは、ソロバンよりずーと前から使われている計算器でございまして、見た事もさわった事も無い方はどんな形をしているのか想像もつかない事でありましょう。その形は、木の薄い箱に仕切りがされていて駒札が10枚づつ三段に並べられており、一枚一枚めくって数を記録してゆく道具といったものであります。数を一つ一つ取ってゆくことから「数取器」と名付けられたと思います。全部の駒をめくり終えますと、なんと1000回を数える事ができるようになっています。電気という文明が無かったその昔、お灯明のもとでの数取りは、手元も暗く手さぐりの状態でもあった事でしょう。そんな環境でも使える素朴な計算器が発明されたのでありましょう。今日でも灯明のもとでの礼拝行の際には立派に使用されております。
 礼拝行は、三唱礼を称えながら五体投地を繰り返す修行でございます。一礼する毎に南無阿弥陀仏と3回お名号を称えることができ、仮に30礼なされますと100回近くのお念仏を申すことになります。
 宗祖法然上人は、お念仏を申す数については特にこだわりをお示しになりませんでしたが、お念仏を申すことにより、浄土に生まれ変わることが出来るとお説きになられました。法然上人の教えに従いお念仏を申し、一時一時を又、一日一日を安らかな気持ちをいだきつつ、楽しく過ごそうではありませんか。

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