浄土宗神奈川教区テレホン法話 第761話

 暑さ寒さも彼岸までというように、厳しい暑さもだいぶ和れいでまいりました。9月はお彼岸の季節です。
 お彼岸とは、お盆、正月とならんで、私達日本人にとってはもっとも親しみのある年中行事の一つであり、かつ、仏教徒にとってはなくてはならない仏教行事の一つです。
 一年に二度訪れる春分と秋分の日。この両日は太陽が真西に沈む日であり、昼と夜の長さが同じになる日です。それゆえ、お彼岸の中日の夕日には功徳があると言われています。この日を挟んで前後一週間がお彼岸です。
 この時期に行われる仏事を彼岸会といい、古くは平安時代から行われている日本独自の仏教行事です。
 彼岸とは、煩悩や迷いに満ちたこの現実の世界から、悟りの世界すなわち阿弥陀様のいらっしゃる西方極楽浄土ヘ渡る事をいいます。では、どのようにしてこの迷いの世界から悟りの世界ヘ渡るかと言えば、六波羅密という修行があります。第一に布施。これは他人に施しをする事で、物や心を他人に進んで与える事です。第二に持戒。これは普段の生活の中で仏教徒らしく、慎しみ深く悪い事をせずに良い行いをする事です。第三に忍辱。これは他人からの陰ロや、悪ロ、迷惑を我慢し耐え、心に憎しみを残さない事です。第四に精進。これは生きていく全ての事に努力し、怠らず励む事です。第五に禅定。これは心を落ち着かせ、心の静けさを失わない事です。第六に智慧。これは仏教的心理に基づく正しい考え方をする事です。口にするだけなら簡単な事ですが、実際に行う事は非常に難しい修行です。
 お彼岸とは、こうした仏教の教えを実践する仏教週間ともいえます。ご先祖様を偲び、自分が今ある事を感謝して、ご先祖様を供養すると共に、自らも極楽浄土に往生できるように修行する期間とも言えます。

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