浄土宗神奈川教区テレホン法話 第783話

 昨年私は中国の敦煌莫高窟に行って参りました。
 中学生の頃から行きたいと思っていましたので、莫高窟を目の前にした時は、本当にはるばるやってきたなという思いでした。
 最近は観光客も多くなり、現地の方の話によりますと、外気が入る事で損傷が激しく、次々に見学不可能の壁画が増えてきているといいます。今見る壁画も二度と見れなくなるのかなと思いながら扉を開けてもらい石窟の中に一歩を踏みこんだのであります。
 もう本当に圧倒されました。壁も天井も隅から隅までぎっしりと色鮮やかな仏様、菩薩様が目に飛び込んできたのであります。石窟の中はまさしくお浄土でありました。
 特に、阿弥陀様の極楽浄土の世界を現した観無量寿経変の石窟は、ただただ呆然とし、何と有難い事ののだろうと動悸がする程でありました。
 『阿弥陀経』などには極楽浄土の様子を我々の住む娑婆の世界で最高のものをたとえに説かれていますが、その石窟の中に入って益々お浄土を求める気持ちがふくらんだ様な気がします。
 極楽浄土は阿弥陀様の功徳が成就された安楽な世界でありますから、永遠の世界であり、絶対の世界であります。それを伝えるすべがありません。
 凡夫といわれるおろかな私どもでは、この世にあって目も前に見る事は、なかなかできるものではありません。そんな世界などあるわけないなどと、縁のない方などはおっしゃいます。しかし、今回、敦煌に行って、益々信仰を深めさせていただいた思いです。
 確かに、仏教美術、芸術としてもすぐれておりますが、信仰の目、信仰の心をもって、この自分をその場におきますと、そこはもうお念仏信仰の確信の場でもありました。何かうれしくなる様な思いでありました。
 阿弥陀様のお浄土へはただただお念仏であります。毎日お念仏を申し、お念仏を支えとして暮らさせていただき、いずれは阿弥陀様のお浄土へ参らせていただきましょう。
 南無阿弥陀佛。

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