浄土宗神奈川教区テレホン法話 第807話

 間もなく一年が終わろうとしています。
 12月31日の大晦日には、百八つの鐘を打ち鳴らします。私たちの心の中には、108もの煩悩があり、その代表的なものが、貧・瞋・痴という3つの垢「三毒」です。貧とは、現在に満足せず、もっとほしい、まだ足りないという、むさぼりの姿。瞋とは、自分の努力を怠っての失敗を他人のせいにしたり、思いやりを忘れて、怒りを他に向けてしまう姿。痴とは、愚痴ばかり言う愚かな姿のことです。
 この様な煩悩は、誰しもが持っているもので、生きている限り仕方ないことでもあります。しかし、それを外に向けて、他人に迷惑をかけてしむうか、むさぼりや怒りや愚かな心が出てきた時に、ぐっと堪えて、自分への試練と受けとめられるかによって、その人の価値がだいぶ違ってきます。
 私達のこの命は、過去に戻ることは出来ません。又、明日の命がどうなっているのかもわからないのです。ならば、今という一瞬をどう生きるかを考え、その中で、3つの垢を出来るだけ外に出さない様に努力することが生かされているものの使命なのかもしれません。
 私達は、日頃から他人の行動ばかりが目につき、気になるところですが、脚去照顧ということばがあるように、日々自分の足下をしっかり見つめ、生かされる喜びをかみしめながら生活することが、大切です。
 この辰を迎えて、この一年の垢や罪をあの鐘に託し、真の心を持って新年をお迎え下さい。

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