浄土宗神奈川教区テレホン法話 第863話

 「再会」
 
 昨年、ある日、亡くなった人が突然目の前に帰ってくるという「黄泉がえり」という題名の映画や小説がヒットしました。
 現実には、亡くなられた方が生身の体で目の前に現われることはないと思いますが、亡くなられた方や、目の前にいる親しい友人や家族と亡くなった後も会えたらいいなと思うのは心情でしょう。
 浄土宗の宗祖法然上人は式子内親王から、
「今すぐあなたに会いたい」と書かれた手紙を受けとり、「臨終近いあなたが先に亡くなったとしても、もしくは私が急に先に亡くなったとしても、同じ阿弥陀さまの浄土に参って、ふたたびお会いするのは間違いありません。どうかあなたもお念仏に励まれて、浄土でお待ち下さい」
という返事を出されています。また、どなたが詠んだのかはわかりませんが、
  先立たば おくるる人を まちやせん 
  花の台に なかばのこして
と、「私は先に亡くなりますが、送ってくれるあなたを極楽浄土の蓮の台であなたが来るのを待っています」という歌も詠まれているように、昔から亡くなった友人や家族と極楽浄土で再会するのを誰しもが楽しみにしていたのでしょう。
 浄土宗では「南無阿弥陀仏」とお念仏をとなえることで「阿弥陀さま」が「西方極楽浄土」に往生させてくれます。この西方極楽浄土には亡くなられた方々がいて、そこで必ず私たちは再会することができるのです。
 私もいつかは必ず亡くなります。
 会いたい人も大勢います。みなさんも会いたい人は大勢いるにちがいありません。 
 極楽浄土の蓮の台で亡くなった人が待っていてくれるように普段からお念仏に励み、その時が来るのを今から楽しみにしましょう。

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