浄土宗神奈川教区テレホン法話 第923話

三浦組 三浦 正順 3月といえば、彼岸月でございます。
彼岸とは、仏道修行の期間と言われており、特に六波羅蜜と言って六つの修業があります。布施(ほどこし)、持戒(決まりを守る)、忍辱(耐え忍ぶ)、精進(つとめに励む)、智慧(ものの道理を見極める)、禅定(心を定める)の六つです。ただし、この修業、簡単そうで、実はとても難しいことなのです。 浄土宗の宗祖、法然上人さまは、ありとあらゆるお経や書物をお読みになりました。もちろん六波羅蜜のような修業も実践されようと致しました。ところが、大変なご修行をされた法然上人でさえ、先ほど申しました六波羅蜜の持戒、禅定、智慧のどれもがまともにできるものではない、と仰っているのです。法然上人さまでも、この修業を実践できることができなかったことが、この私に出来るかと考えてみますと、到底そんなことはできないと考えざるをえません。しかし、法然上人は、お念仏によって阿弥陀様のお救いを戴き、阿弥陀様に導かれて極楽に行くことができるのだ、いうことをお悟りになります。 我々生まれたこの娑婆の世の中は、欲の世界である。この世界に、生を享けた者の心が乱れないことがあろうか、もし、心が乱れないようにと願うのであれば、生まれついた目鼻をとりさるようなものだ、こう法然上人さまは仰っています。 六波羅蜜の修業を成し得ることは大変素晴らしいことです。しかし、阿弥陀様のお浄土を身近に感じたいと思うならば、やはり阿弥陀様のお力におすがりし、南無阿弥陀仏のお念仏を声にだしてお称えすることしかないのです。

次回は三月二十一日にお話しが変わります。