浄土宗神奈川教区テレホン法話 第940話

小田原組 岩崎 正伸 「それ浄土に往生せんと思わば、心と行のふたつ相応すべきなり」 これは、お浄土に往生しようと願う私たちの心構えと実践についてお示し下さいました法然上人のお言葉です。お浄土に往生したいと願う人は、「心」と「行」の二つが互いに釣合い、助け合うことが大切であるとお説きになられました。 さてこの「心」の性質を考えてみましょう。 昔は「心」のことを「ころころ」といったそうです。なぜ、「ころころ」といったかというと、人間の心はいつもこの身を出て行ってどこへでもコロコロと転がっていくし、また、コロッと変わるものだからです。穏やかだったと思えば直ぐに険しくなったりします。 この心を揺らぐことなくしっかりと据えることを、心を安置するとかいて「安心(あんじん)」といいます。 一方、「行」とは皆様ご存知のようにお念仏を申すことです。しかし、分かっていることと実践することとは別です。皆様それぞれが口に出してお念仏を申すことを「起行」といいます。法然上人は「選択集」の初めに、「極楽往生するには何をおいてもお念仏が先です。この私の粗末な心、安心出来たと思ったら、またすぐ乱れ飛んでゆく。だから、安心を待っていたのではいつまでたっても起行が出来ません。だから先ず、起行しなさい。お念仏を申しているうちに、次第に安心が出来てきますよ」とお示しになられました。 これが心と行が互いに釣合い、助け合うということです。そして、こんな愚かな私でも、出来る事をお示し下さったのだから先ずお念仏申し上げましょう。有難いことに、いつでも、どこでも、誰でも出来る行です。心が険しくなったと思ったらお念仏しましょう。心が穏やかな時、・・・言うまでもありませんね。

次回は9月11日にお話が変わります。