浄土宗神奈川教区テレホン法話 第988話

高座組 上田真彦

 平成21年、今年もまた新しい年が始まりました。 希望にあふれた楽しいお正月をお過ごしの方、入学試験に向け最後の追込みに入る受験生、普段の多忙な仕事から解放され寝正月で休養される方、昨年に大切な人を亡くし、喪に服され、お祝い事を自粛されている方、実にそれぞれの方が様々な想いを抱き、新たな年を迎えられたことと拝察申し上げます。  近年でもよく言われる「盆・正月」。就職や大学生活、又は結婚をされたことにより故郷をはなれた人たちも、夏のお盆と冬の正月には帰省し、家族と一緒に過ごす習慣があります。これは、かつて、正月が、お盆と並ぶ1年に2回の大切な節目として、先祖の御霊を家族でお迎えして祀る仏教行事であったことに由来するものです。しかし、先祖の御霊をお迎えする仏教行事は、やがて、盂蘭盆会として夏のお盆へ徐々に移行し、正月は「年神」を迎え、豊作や家内安全などを祈願する「神祭り」として位置付けられるようになっていったと言われております。  しかしながら、先に述べたように、お正月を晴れやかに祝うことができる方ばかりでないこともまた事実です。浄土宗では、いつでも、どこでも、どなたでも、嬉しい時も辛い時でもできるお勤めに「南無阿弥陀佛」のお念仏がございます。「南無阿弥陀佛」のお念仏には、阿弥陀佛の慈悲にお縋りするという意味があります。無事新年を迎えられたことへの感謝、先立たれた大切な人を想う気持ち、又、受験など大きな正念場に向けての祈願、 それぞれの想いで「南無阿弥陀佛」とお唱えし、今年1年間の大切な第1歩となることを我々は願うところでございます。