浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1017話

港南組 正應寺 石川 基樹

浄土宗神奈川教区テレホン法話第1017話、今回は私たちが避けることのできない病気ということについてお話したいと思います。私たちの体の不調は多くの原因によって生じます。時には重い病気になり、激しい苦痛にみまわれることもあります。病気と一口にいってもその内容が様々なのは言うまでもありませんが、私たちに生じる病気のあり方は大きく変わってきています。医学の進歩や生活水準の向上などによって、感染症などの急性の病気は減りましたが、その代わりに生活習慣病などの慢性の病気が増えてきました。慢性の病気ですから簡単に治るということはないのです。こうした中では病気は治すものだという考えではもはや立ち行きません。病気といかに付き合っていくかということが重要になってきているのです。しかし、病気と闘いながら生きていくことは非常に辛いことです。このようなとき、何とかその苦しみから逃れたいと願い、神仏に祈りたくなると思います。では、浄土宗の宗祖法然上人はどのようにお考えになられたのでしょうか。上人は、「過去や現在の様々な行いの積み重ねで生じる病気は、たとえ神仏に祈っても避けることはできない。祈ることで病気が無くなるか、寿命が延びるのであれば、病人や亡くなる人はいないはずである」とおっしゃっています。このように、法然上人は阿弥陀様を頼りとして、命の働きに従うことをすすめられました。病気は命の法則にもとづいて対応するのが良いというお考えであったのでしょう。法然上人のこのお考えは、生活習慣病などの慢性的な病気が問題となっている今の状況にこそ心すべきことなのではないかと私は考えています。次回は、11月1日にお話が変わります。