浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1056話

お釈迦様の教えの中に『六方拝』という教えがございます。『六方拝』とは『東・西・南・北そして天と地の六方、すべてに感謝して拝みなさい』というものでございます。
「東に向かい、自分を生んでくれた両親、祖父母、ご先祖様に感謝して拝みなさい」「西に向かい、家族(配偶者、子供)に感謝して拝みなさい」「南に向かい、お世話になった人生の師に感謝して拝みなさい」「北に向かい、友人や知人に感謝して拝みなさい」そして「天に向かい、太陽や空や宇宙や大気に感謝して拝みなさい」「地に向かい、食物をもたらしてくれる大地に感謝して拝みなさい」という教えでございます。
現在の世の中は、若者を中心に、引きこもりやニートと呼ばれる人達が急増して社会問題となっております。このような人達の多くは「オレが」「私が」という発想で、周りの人達をみることも、いろんな物事を考えることもできない自己中心的な考えなのではないでしょうか、一方では、子供が親を殺したり、親が子供を殺したり、悲しい事件が増えております。現在の子供達は、両親を敬う、年長者を敬うことを教えられておらず、子供が親に感謝していないので、平気で親を殺してしまうのでしょう。また、そういう感謝を知らない親達が、子供を殺してしまうのでしょう。いつの時代も感謝の気持ちを忘れなければ、このような痛ましい事件は増えていないはずです。
こういう時代こそ、お釈迦様の『六方拝』を実践して、「オレが」「私が」の我を捨てて、「おかげさまです」の感謝の気持ちを忘れずに生きていただきたいと願います。