浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1060話
金台寺 奥田昭應あけましておめでとうございます。
皆様のお家ではどのようなお正月を迎えられましたか。
年の始め、一家揃って「おせち」を囲む。
出来れば、お仏壇の有るお部屋にお膳を出し、先立つご先祖さまもお迎えしてのお正月でありたいものです。
「親しい中にも礼儀有り」ではないですが、この時だけは身なりを正し、新しい服に袖を通さないまでも、「もう一日ぐらい」と前の日に着ていた物を、また着ることだけは避けなければいけません。新しい門い出です。「身内で過ごすお正月だから」と、安易な考えはいけません。
お宅によっては、元旦の朝にわざわざ風呂を沸かし、身を清めてから、新年のお膳に着くといった家もまだまだございます。
両指をきちんと畳に付けて「明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。」と互いに交わす新年のご挨拶。本来ならこのご挨拶は、まず、ご先祖様に申し上げるべきでしょう。
御魂を御安置します、仏壇に向かって、手を合わせ、「同称十念」の発声と共に、「南無阿弥陀仏」と十遍のお念仏を、一家揃ってお供えしたいものです。
愈々お膳の席に着きます。たいていは、ここで、気が早い子供たちは、「お年玉を!!」と催促の手を伸ばしてくるかもしれませんが、まだいけません。
年少から順に杯を回して御屠蘇いただきます。次に、家の統主があらためて新年の挨拶を家族に述べ、去年一年を振り返りつつ新年の抱負をお話します。どういう所がいけなかったか、思いやりに欠けていたとか、小さなことへの反省も言葉にし、「お互い様」の社会の下で、煩悩に縛られた「わがままな私」を省みることの大切さを、年長者として家族に伝えられれば大したものです。
同様に、下の者から順に、去年一年を振りかえって、今年の目標を告白します。「よく気がついた。えらいぞ。今年も頑張りなさい」と、ここで初めて一人一人に「お年玉」を振る舞う訳です。
このようにお正月の年頭のご挨拶は、心の通い合った家族だからこそ、その皆の前で、自分自身を反省し、且つ懺悔をみずから告白する。そして、その至らないお互いを、皆で助け合って、この一年間を過ごしてゆきましょうと、家族の絆を再確認できる大切な伝統行事といえます。
次回は1月11日にお話が変わります。