浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1068話

一期一会

「一期一会」という言葉があります。「この人と会うのは、この時かぎりかもしれない。だから、今この人と会っているこの時間を大切にしよう」という意味ですが、私たちが、美しいもの、楽しいもの、感動できるものなどに接して喜びを感じ、満足感を得ることのできる時は、昨日でも明日でもありません。「今」という瞬間です。すべてのものは移り変わる、今日は再び来ないという教えです。いわば人生は、この一期一会の連続のようなものです。
いつの時代でも「今」の積み重ねです。今という一瞬を意義あるものとし、その積み重ねを繰り返して、希望ある未来へとつなげていくのです。今日この一日というものを大事な大切な一日にしたいものです。今日こそがお互いが生かされて生きている証です。昨日は過ぎ去り、明日はまだ参りません。仏法とは今日只今を空しく過ごさないことです。浄土宗では今、お称えするお念仏こそが大事なのです。
お念仏は、やがて死すべき私が、このように生かされていることのありがたさ、尊さに気づかせていただくと同時に、いづれ訪れる自分の行き先を確信するものであります。行き先とは阿弥陀様の世界。極楽浄土です。
浄土宗をお開き下さいました、法然上人は「生けらば念仏の功積もり、死なば浄土へ参りなん、とてもかくてもこの身には、思いわづろう事ぞなきと思ぬれば、死生共にわづらいなし」とお示し下さっています。
南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏とお念仏をお称えさせていただき、阿弥陀さまが、この私をお守りくださっていると信じて、今日、只今を、生抜くことが大切であり、今をよりよく生きる方法であるのです。