浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1114話

今回のテレホン法話は、この時期、各地域のお寺でお勤めされる事の多い「施餓鬼会」についてお話させて頂きます。
施餓鬼とは、六道輪廻(地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道・天上道)の世界の一つ、餓鬼道に堕ちて餓鬼となって苦しんでいる衆生に飲食を施し、供養する事を目的とした法要です。その法要の中で餓鬼に施しを与え、供養したその功徳を各家の先祖代々の諸霊位にふり向け、ご先祖様が極楽世界で心安らかにお過ごし頂けるようにと祈念するものです。
この施餓鬼会の由来としては、「救抜焔口餓鬼陀羅尼経くばつえんくがきだらにきょう」というお経の中で次のように書かれています。
皆様がご存じのお釈迦様のお弟子さんの一人に阿難尊者あなんそんしゃという方がいました。ある時、その阿難尊者の前に、口から火を吐き、痩せ細って骨と皮だけの恐ろしい姿の餓鬼が現われました。餓鬼とは、生前に行なった悪業の報いで飲食が自由にならず、飢えに苦しむ世界(餓鬼道)に堕ちた亡者の事です。
その餓鬼が阿難尊者に向かってこう言いました「お前もあと3日で餓鬼道に堕ちる。助かりたいのなら、餓鬼に施しをして、供養をしろ」
驚いた阿難尊者がお釈迦様に相談したところ、お釈迦様は餓鬼への供養の方法を阿難尊者にお教えになりました。
阿難尊者はお釈迦様のお教えのとおりに餓鬼に飲食を施し、供養をすると、その餓鬼は極楽に転じ、阿難尊者は功徳を得て餓鬼道に堕ちずにすんだと言われています。
このお施餓鬼会、多くのお寺ではこの時期に行われる事が多いため、お盆の法要と勘違いされる方も多いと思いますが、本来は全く別の法要であり、施餓鬼会の法要で、餓鬼に施すという気持ち、自分の事だけでなく、他者を思いやる気持ちを普段から忘れないようにしたいものです。

次回は7月11日にお話が変わります。