浄土宗神奈川教区テレホン法話 第688話
過日、お盆のお勤めでお檀家さんのお宅にお伺いした折り、帰省されていた娘さんとしばらくぶりにお会いしました。この娘さんは、観光バスのガイドをしている方で、今では後輩の指導にも携わるほどのベテランのガイドさんです。「お久しぶりですね。お仕事の方はその後いかがですか。」と私が話しかけますと、「慣れない頃には失敗も多く、いろいろ苦労もありました。でも仕事を通して各地の観光名所を訪れたり、いろいろな人との出会いがあり、それなりに充実しています。それからこんな事もありました。二泊三日の仕事を終えてやれやれと思っていたところへ、上の人から誰々さんが急に入院したので代わりに出てほしいって連絡が入ったんです。私は疲れてもいるし、いろいろ予定もあったのですが、しぶしぶ引き受けました。会杜に出社しても不機嫌さを隠さずに制服に着替えたりしていたんです。そしてバスに乗り込み乗客に対し型通りの挨拶をしました。そしてふとミラーを見るといつものにこやかな笑顔の自分の顔がうつっていました。自分なりに一生懸命努力してきたことが、いつの間にか身に付いていたのですね。」と話してくれました。
「つとめても なおつとめても
つとめても つとめたらぬは つとめなりけり」
お念仏も日に何度もお称えしますが、一心に続ける事により、たとえその大切さが百パーセント解らないまでも、その中にそれなりの形と心構えが出来るのだと思います。
阿弥陀様は私たちを見守りくださっているのですから、お念仏をお称え続けることで、自分自身の至らぬところに気付かせていただき、感謝と安心に包まれた日々をおくりたいものです。