浄土宗神奈川教区テレホン法話 第717話
蓮華(はす)
梅雨の季節が過ぎ去り盛夏を迎えると蓮華の花が開く季節を迎えます。
お寺にお参りになると、よく蓮華を見かけられる機会も多いと思います。「はす」の語源は、果実の入った花托の様子が昆虫の蜂の巣によく似ていることから、古来「蜂巣」と呼ばれていたものが略されて「はす」となったそうです。蓮はその清らかな花を泥水の中で咲かせます。悪い環境にあって清らかな花弁をたたえる蓮の花は、煩悩けがれを払って清らかな悟りの世界を表す例えとなり、仏教と深い関わりを持ち続けてきた植物なのであります。
阿弥陀経の一節には「池の中に蓮華あり大きさ車輪の如し青色には青光あり黄色には黄光あり赤色には赤光あり白色には白光ありて微妙香潔なり極楽国土にはこのような功徳荘厳を成就せり」と説かれています。
またよくする言葉に「一蓮托生」という言葉があります。お念佛を実践する私たちが、極楽の同じ蓮華のもとに往生を遂げることを表す言葉であります。「いさごに黄金、泥に蓮」という言葉があるように、つまらない砂の中にこそ黄金があり、汚れた泥の中にも清らかな悟りの花が開かれるのであります。
凡夫である私たちも、お念佛を申すその信仰心で、汚れなき美しい蓮華の花弁を咲かせたいものです。