浄土宗神奈川教区テレホン法話 第733話


 21世紀最初の1年も、残すところあと1か月となりました。本年は、国内外において様々な事件が起こりました。国内においては狂牛病問題、海外では、アメリカで起こりました同時多発テロ、そして、その報復としてのアフガニスタン攻撃は今もなお続いてる大きな問題です。
 テロによりニューヨークの貿易センタービルが崩れて行く様は何度もテレビで映し出され、変わり行く姿は、栄枯盛衰、諸行無常を伝えます。しかし、国内においても、今の不況を十数年前のバブルの当時と比べると、まさしく、諸行無常であると実感される方も多いのではないでしょうか。お釈迦様は、この世に存在するすべてのものは常に移り変わって行くもので、変わらないというものはない事をお示しくださいました。
 さて、今月12月8日は成道会といって、4月8日の降誕会、2月15日のネハン会とともに仏教においての三大行事であります。成道会とは、お釈迦様がお悟りを開かれた日であり、わたしたちはその偉業に感謝し、お悟りを開かれたことをお祝いする日でもあります。
 お釈迦様が開かれた悟りはひと言では言えませんが、人々がが苦しみから解放され、あらゆる人が幸せになる道をお示しになったのです。まして、お釈迦様在世のころは階級制度が厳しく、同じ人間であるにもかかわらず、平等の生活ということは望めませんでした。そして、お釈迦様がお示しになったことが、縁起ということです。縁起とは一つの出来事は様々な縁によって成り立っているということで、わかりやすくいうと、「おかげさま」ということでしょう。自分が今ここに存在することは、どれだけ多くのご縁によっているものか、両親はもちろんのこと、ご先祖、そして、様々な人たち、大自然の恩恵、数え上げればきりがあリません。そしてその一つ一つが等しく尊いものであります。逆にいえば、自分だけが尊いというごう慢な心は起きてこないはずです。
 本年も残り僅か、「おかげさま」を感じ、様々なご縁に感謝しながらの生活をさせて頂くことが、お釈迦様の悟られたことでしょう。

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