浄土宗神奈川教区テレホン法話 第753話
こころと身体のバランスを整えることが仏教の目標を達成する為の方法のひとつであることを申し上げてきました。この方法は仏教の真理にいたるための方法に止まらず、私達が日常生活を送るためには極めて重要な方法であるとも思っています。
今サッカーのワールドカップをめぐる戦いが大変な関心を生んでいます。サッカーをよく知らない私ですが、驚くのは極めてスピードに飛んでいることです。瞬時の油断が勝敗を分けることになりまっす。そして、サッカーボールをめぐって22人の選手達がすばやい展開でつぎの局面をイメージしてそれぞれの場に布陣します。多分、それは身体はものすごいスピードで動きつつ、脳内においてもつぎつぎと新たな局面を描きつつ身体に指令をあたえて動かしているのだろうとは思います。しかしそれにしても、そのスピーディなことには感心します。脳と身体、がすばらしいバランスをとっていることに驚嘆します。ライン脇からけられたボールをヘッディングや宙に舞いながら蹴る姿は人間業とは思えません。脳と身体、いやこころと身体と言い換えてもいいでしょう。こころと身体が合致すると人間はどれだけの能力を秘めているのか、どれだけのことができるのか、それは未知数と言ってよい可能性を秘めていることが感じられないでしょうか。一級のスポーツマンは人間の可能性を具体化してくれているのです。ですから私は「人間て凄いな」という感動を覚えるのだと思います。
また、ワールドカップの影響で影が薄くなっていますが、大リーグでのイチロー選手の活躍を見ながらも、その一挙手一統足が美しいですね。見事なバランス、調和を示しているように思います。調和することが美しいことだということを教えてくれていると思います。
こころと身体のバランス、つまり調和をとることはスポーツに限らず大切なことです。お釈迦様が教えてくださったことは戒律で身体を整え、瞑想することでこころを整えて真実を見る、ということだったと思います。それはこころと身体の調和を図れ、ということと言い換えても良いと思います。何事にもとらわれず真実を見る、その根底には調和がある、と言うならぱ日常生活の中でも同じことがいえるのではないでしょうか。先にも申し上げましたが、お念仏をすることは自然とこころと身体のバランスが謀られます。難しい問題、困難な事態がありましたら、一呼吸おいてお念仏をし、そして問題こ対処する。そうすれば、普段以上に自分の能力を発揮できると思います。お念仏の功徳でもあります。