浄土宗神奈川教区テレホン法話 第770話
毎年12月になりますと各寺院に於いて仏さまのみ名をお称えする仏名会か厳修されます。12月を意味する師走という月の異名は、お坊さん達がこの仏名会にご随喜する為に各お寺を忙しく走って回ったことに由来するといわれております。
さて、今年も残すところあと僅かとなりました。自ら歩んだ1年間をふり返ってみましょう。嬉しかったこと楽しかったことは勿論ののと、つらかったこと悲しかったこと、その中でも特に、誤解やすれ違い又は些細な気の緩みから犯した過ちはないでしょうか。例えば、自らの実力不足や努力を怠ったことを棚に上げ嫉妬したり人のせいにしたり逆恨みをしたことは。又自分の尊厳を守りたいが為に人の悪口を言ったり上げ足を取ったりすることなどはどうでしょうか。好意をもって接してくる人を何かたくらんでいると疑い変なかんぐりをしてせっかくの親切心を踏みにじることはどれだけその人の心を傷つけ悩ませていることでしょう。良かれと思ってしたことが結果的に大迷惑となってしまったり何気ないつもりで言ったひと言かどうしようもなく相手を傷つけてしまったなどということはたとえ悪意がなかったにせよ過ちに他ならないわけです。
先に述べました仏名会は別名を仏名懺悔ともいいます。懺悔とは単に反省するというだけのことではなく仏さまの御尊前にて犯した過ちを告白し仏さまのみ光に触れ、自己の至らなさ、み仏の確かさ、尊さに目覚めさせていただくものです。仏名会を12月に修するのは歳末に当たり1年を通しての過ちを懺悔し、清らかな身をもって新年を迎える為であります。
過ちを犯す者、過ちによって害を被る者、又その結果として許しを乞う者、許す者、それぞれお互いの立場をしっかり理解し認識することこそ人と人との和であり、我々は一人一人がこの和によって生かされ生きているのです。どうか新しい年を迎えてからもそのこしをしっかり踏まえた上で、南無阿彌陀佛の教えにあるように明るく、正しく、仲良くの生活を送っていただきたいし思う次第でございます。