浄土宗神奈川教区テレホン法話 第789話
先日、“カウンセリング研究講座”に参加し、カウンセラーのお話を聞く機会がありました。“○○相談室”と、悩みを抱えている方が電話などで相談してきたときに、その悩みを聴いて、和らげてくれる人をカウンセラ一と呼ぶ場合があるようです。
そのカウンセラーの基本姿勢というのは、相手の話をよく聴く、同じ目線でものを見る、基本的に相手の気持ちを受容する、指示・評価しないといったことなんだそうです。そして、そのカウンセラーにとって必要不可欠なのが“カウンセリングマインド”を持つことも話されました。
これも同じ目線で見てくださったからなんでしようか、横文字ばかりで難しそうだなと思っていたら、ちゃんと説明して下さいました。“カウンセリングマインド”を日本語で言うと『おもいやり』−相手の立場に立つ想像力です、と。
確かに、水に溺れている人を救うためには自らが水に飛び込まねばなりません。陸の上からいくら忠告しても溺れている人は泳ぎを知らないのだからどうしようもありません。自分が飛び込んでその人の所へ行って初めて救助ができるのです。
仏教ではこれらのことを、同じ事を行うと書いて「同事行」と言います。相手と同じ立場に自分の身を置くこと、つまり「思いやり」です。
浄土宗においてご本尊とする阿弥陀様は、悟りを開かれ阿弥陀様となられたのですが、修行の段階では法蔵菩薩と言われていました。その法蔵菩薩が悟りを求めて四十八の誓いを立てられました。自分一人が悟りを開くことを願わず、全ての衆生が救われなければ、自分は仏となるまいという誓願です。このうちの第十八願では、「極楽に往生したいと思うなら、十辺お念仏を唱えなさい。もし、往生しなかったならば、自分も仏にはなりません」という願を立てられました。
阿弥陀様は、極楽往生を願う衆生を思いやってくださいました。その思いやりにおすがりするべく十辺のお念仏をお唱えするのです。口に十と書いて叶うのです。是非声に出して十辺のお念仏をお唱え下さい。