浄土宗神奈川教区テレホン法話 第817話

 4月を迎えますと、増上寺や知恩院を始め、浄土宗の寺院では御忌という法会が行なわれます。御忌とは、貴い方の法要のことですが、今では法然上人のご命日の法会を指しています。丁度この頃、増上寺の芝公園、知恩院の円山公園は桜の花が満開になります。

  御忌迎え 宗祖をしのぶ 桜花

 御忌は宗祖法然上人のお徳をしのび、法然上人のみ心にふれさせていただく法会なのです。例えば熊谷真実が信仰のために、京都に行きたいが年老いた母がいるのでそれが出来ない、という悩みの手紙に、「孝養は本願の行ではありませんが、老母も89才、今年など大切な時かも知れませんので用心してください」とお諭しになられています。
 法然上人は宗教者として、厳しく浄土宗の本願を示されましたが、一面、人間法然としての優しさもうかがうことができます。
 このようなお人柄、み心にふれさせていただくことが、御忌会の大切なことなのです。
これは、私たちがご先祖のご命日を迎えるときも、同じです。ご命日や亡き方のお年忌の時には先き立たれた方々のお人柄にふれ、己の心の中に生かすことが大切です。

 先立てし 他人の心を 身にうけて 手をば合せて ともに祈らん

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