浄土宗神奈川教区テレホン法話 第852話
今回はみなさんに私どもの宗歌「月影の歌」をご紹介したいと思います。
「月影のいたらぬ里はなけれども 眺むる人の心にぞすむ」
このお歌は、浄土宗を開かれました法然上人がお作りになり、今も多くの人達に歌われ親しまれております。
月の光はこの世をあまねく照らし、どんな山里にも届くけれども、私たちがその月の光に気づかず、また眺めようともしなければ、私たちの心の中に届くことはないのです。
日頃、私どもがお称えしているお経の中に「光明遍照 十方世界 念仏衆生 摂取不捨」という経文があります。
阿弥陀様の光明はすべての世界を照らし、念仏を称える者は誰でも必ず救い摂って下さる、という慈悲の心。
そうです。
まさにこのお歌は阿弥陀様のお心を歌われたものなのです。
阿弥陀様は無量の光を放ち、いつでも私たちをお護り下さっています。
阿弥陀様を信じ、眺める心を持ってこそ、月の光の美しさを感じ取ることができ、阿弥陀様のご慈悲が私たちの心の中に澄みわたるのです。
法然上人はこの「月影の歌」に月とその光を美しいと仰ぐ人と、阿弥陀様との関係を示されました。
法然上人をお慕いし阿弥陀様のご慈悲を頂けますよう、共に月を仰ぎお念仏をお称えして参りましょう。