浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1050話


 沖縄に、エイサーと呼ばれている踊り念仏があります。この踊り念仏を始めたのが、袋中上人という浄土宗の僧侶です。
 時は1603年、日本の年号では慶長8年から3年の間に、袋中上人は琉球王国に滞在したのです。尚寧王の時代です。
 袋中上人については、「琉球国由来記」に次のように記録されています。
「日本国の念仏者、尚寧王の時代に3年間滞在し、その間に『琉球神道記』を著し、仏教の経典の中からいい文句を選び、それを易しくして琉球語に直し、那覇の人たちに教えた。日夜この経文を唱えさせて、人々に善悪の区別を分からせた。琉球での浄土宗は、この時から始まった」
 エイサーの歌詞の一部に念仏が出てくるので、口語訳でお伝えをいたします。

 愛しい母上の 涙と思え
 蝶々が飛び回ったら 受け取れよ
 南無阿弥陀仏は 弥陀仏
 四十八流れの念仏は 親の供養となる

 この四十八の数字は、特に浄土宗では意味があります。浄土三部経の無量寿経において阿弥陀仏が、「四十八願」の誓いを表しているからです。そのときはまだ菩薩であった如来さまは、48の誓いを守らなければ仏にはならない、と記しているのです。
 袋中上人の故郷は、福島県いわき市です。そこにはエイサーの元とも言える「じゃんがら念仏踊り」と言われる、鉦と太鼓の音を激しく合わせて踊る念仏があります。
 沖縄に来てからの踊り念仏は、雄大な舞いと力強いリズム、統制のとれた美しい動作など、独特なかたちで現在にいたり、花開いているのです。
 今月はインド・中国・沖縄と、旅先で出会ったお念仏のお話をさせていただきました。
 来年は法然上人800年大遠忌です。どうぞ皆さま、ますます念仏をお唱えいたしましょう。

次回は10月1日にお話が変わります。