浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1053話
「愛別離苦」という四字熟語を皆さんはご存じでしょうか。辞典を引きますと、「親子・兄弟(姉妹)・夫婦・恋人同士など愛し合う者との生別、死別する苦しみや悲しみ。」と記載されています。親が子を失うとか、子が親から離れるとか、夫婦、兄弟、朋友知己、その他、死に別れ生き別れ等々、考えるだけでも恐ろしく、いずれも耐え難き苦痛です。
浄土宗をお開きになりました法然上人も仏道に入る出発点には、正しくこの愛別離苦である父との死別がありました。
この世での苦しみを経験した法然上人だからこそ、同じ悩みを持つ我々が救われる道を提示して下さっています。
法然上人はご自身の著書で「人間は愛別離苦のような苦しみを持って現世を彷徨っています。そこから抜け出すには、人を超越した力、阿弥陀様の本願力におすがりして、極楽に往生する喜びを与えて頂き、苦しみを除くほかにないのです。それには南無阿弥陀仏と阿弥陀様の御名を称えれば、たとえそれが一声であっても必ず往生を得ることができるのです。」といっておられます。
このなかなか抜け出せない苦しみが有る世界から、「南無阿弥陀仏」とお称えするだけで必ず極楽浄土に往生できるのですから、こんなに易しく勝れたことはありません。
これが10年も20年も修行を積まなければ、往生を得られないものであれば、この世の中の人のほとんどは救われません。だからこそこの「お念仏の教え」は尊いのです。
皆さんも、現世の苦しみから早く抜け出せるように、是非、ご一緒に「南無阿弥陀仏」と日々お念仏をお称えして、極楽往生を願いましょう。
平成二十三年は、宗祖法然上人がお亡くなりになって八百回忌の年に当たります。
次回は、十一月一日にお話がかわります。