浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1087話

善然寺 戸田由美

誰にもご自分のお気持ちを打ち明けられずに、今このお電話を聞いて下さっているのかもしれません。「死にたい」と思うこともあるのでしょうか。そう思う気持ちを良いとか悪いとか私には言うことが出来ません。なぜなら、今のあなたは何事も上手くいかず、職場や学校、社会の中で、生きづらさを感じては、苦しみながらも何とか頑張って踏みとどまっているのかもしれないから。あなただって「死にたい」のではなく、生きているのがつらいのではないですか。
 誰の心の中にも、小さな種があると言います。仏さまになることが出来る種です。あなたが、あなたらしく、あなただけの花をさかせる事が出来る種です。もしかすると、今はどしゃ降りの雨の中、冷たい土の中でじっと、雨の水を吸収しながら、芽や根っこを出す準備をしているところかもしれません。また、せっかく伸びた芽が、雨や風に晒されながら折れてしまいそうになっている所かもしれません。今は辛いだけの状況が、あなただけの美しい花を咲かせたときに、あの時は成長する為に栄養を吸収する時だったとまた強い風に吹かれた時には強い茎を作る為に必要だったと思える日が来ることを願ってやみません。
 お電話を頂いたことで、私たちは「ご縁」という繋がりが出来ました。あなたはひとりではありません。そして、仏さまも私たちのことを分け隔てなく見守ってくださっています。仏さまに気づき、「ご縁」を結ぶ方法は、ただひとつ仏さまのお名前を呼ぶことです。仏さまのお名前は「あみだぶつ」。お名前の前にお任せします、お願いしますという「なーむ」をつけて「なむあみだぶつ、なむあみだぶつ」とお唱えするだけで、ご縁を結ぶことが出来るのです。あみだ様は、どんなときでもあなたのそばにいてくださり、悲しい時は一緒に悲しんでくださり、苦しい時も共に苦しんで下さるのです。あみだ様とご縁を結ぶ方法は「なむあみだぶつ」日々「なむあみだぶつ」と申してお暮らし頂ければと思います。

次回は、10月11日にお話が変わります。