浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1128話

今日もテレホン法話をお聞きいただきましてありがとうございます。
「結界」という言葉をご存じでしょうか。
仏教的に言うと、聖なる領域と俗なる領域を分け、秩序を維持するために区域を限ることとされます。 広い意味では、生活や作法の中で区切るべき境を示す物事を指します。
日本建築の中にも多くの結界があります。「門」「ふすま」「障子」「衝立」「縁側」「敷居」「畳の縁」「暖簾」などがそれにあたります。
浄土宗の本堂にもこの結界が用いられ、阿弥陀様がいらっしゃる内陣と、外陣を分けています。内陣は、極楽浄土を模してつくられており、外陣は私達の住む娑婆世界です。
この結界は、人と人の間にも存在します。自分と相手との間に結界を引くことにより、お互いに自分の立場をわきまえ、相手に対してとるべき態度を確認できます。
仮に、人と喧嘩になった場合であっても、相手にたいして言っていいことと悪いことがあります。
日本の伝統文化には、扇子がつきものですが、この扇子がまさに心の結界と言えるでしょう。扇子の向こうとこちら側には、相手に対しての敬いと、自身の謙虚さがうまれます。人と接するときに、忘れてはならないのが謙譲の精神です。なぜなら、私たちは常に誰かに支えられ、決して一人では生きてゆくことが出来ないからです。 「俺が私が」という気持ちを横にして、いつも、謙虚さをもって「お陰さまで」という気持ちでいたいものですね。

次回は、12月1日にお話がかわります。