浄土宗神奈川教区テレホン法話 第664話
明けましておめでとうございます。西暦も2000年となり、今世紀最後の年がスタートしました。
世間ではコンピュータの2000年問題が騒がれていますが、今世紀人類は科学文明を急速に発展させ、物質的にはとても豊かで、大変便利な世の中になりました。しかしその一方で人情が薄くなったり、公害の発生、異常気象などの様々な問題を産み出してしましました。
昨今では数々の痛ましい事件が新聞を賑わせています。
浄土宗の拠り所とする三部経の一つ『阿弥陀経』の中に、「五濁悪世」と言う言葉がでてきます。これは、劫濁・見濁・煩悩濁・衆生濁・命濁5つの濁った、つまり汚れた悪い世の中と言う意味です。
劫濁とは時代の汚れで、天災・戦争・公害などの社会悪を言います。海外では争いごとが絶えず続いているところがあったり、また国内でも産業廃棄物による汚染問題、地震や異常気象がこれに当たります。見濁とは思想の汚れで、邪な見解や教えが横行することです。新興宗教が増え、宗教を語って資金調達や悪行を重ねるというのもこの1つです。煩
悩濁とは精神的悪徳がはびこることです。汚職や脱税、保険金詐欺などがこれに当たります。衆生濁とは人間の体・心がともに弱くなり、質的に低下することです。難病が増えたり、自分だけがよければ他の人がどうなってもいいと言う考えがそうです。命濁とは人間の寿命が短くなることです。低年齢層の自殺や妊娠中絶による水子の増加、無謀運転による交通事故死など命を大切にしない人間が増えていることです。
まさに、現代は、五濁悪世の世の中です。お釈迦様は、説かれた教えの中で末法の私たちに忠告をなさっているのです。このことをよく思いとどめ、お互いの努力で21世紀、明るい未来を築いて行こうではありませんか。