浄土宗神奈川教区テレホン法話 第691話

 今年の夏は記録的な猛暑でありましたが、「暑さ寒さも彼岸まで」の諺通り、秋のお彼岸を過ぎるとぐっと過ごしやすくなってきました。一年の中でも春と秋のほんの短い間だけのとても気持ちの良い季節です。
 10月と言えば、運動会のシーズンでもあります。各地の幼稚園・小学校等では子供たちを一生懸命に応援するご両親や兄弟姉妹の姿、ご家族でお弁当を囲む微笑ましい光景が見られます。誰しもが家族の素晴らしさ、ありがたさをしみじと感じているところだと思います。
 ところが先日公表された警察庁の集計によると、昨年一年間の自殺者が過去最悪の3万3千人あまりもあったというのです。これはあまりにも悲しいニュースです。また先日の新聞には、10数年前にご主人を自殺で亡くされたという方の手記が載っていましたが、10数年経った今でもご主人は自分たち家族を捨てたのだという喪失感と虚無感に囚われることがあるとありました。自殺者は健康面での不安、経済苦、いじめなど他人には判らない心身の状況に耐えられずに自ら命を絶ってしまうのだと思います。
 しかし、それは同時に家族そして命を戴いたご両親やご先祖の方々までを悲しませ、いつまでも苦しめることになるのです。
 誰しも長い人生の間には辛いことが沢山あると思います。狭く狭く考え込まずに、時には広い広い夜空を見上げて心静かに「南無阿弥陀佛」とお念佛をお称えしてみてください。悩みや不安などの問題がいかにちっぽけなものかを感じることでしょう。
 『光明編照十方世界念佛衆生摂取不捨』『阿弥陀如来のみ光はあまねく十方の世界を照らして念佛する人々を救いて捨てたまわず』とお経には説かれています。
 お念佛をお称えする時、阿弥陀様はいつも私たちの傍らにいらっしゃいます。全ての結果は阿弥陀様にお任せして、自信を持って一歩一歩頑張ってみましょう。今流した汗と涙が、きっといつの日か笑顔の糧となるのです。

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