浄土宗神奈川教区テレホン法話 第696話
以前、女子マラソンで銀メダルをとった選手が「自分をほめてあげたい。」と言ったことがあります。今までどの選手も言ったことのない言葉です。この言葉の受け取り方は、人それぞれにより違いがあるでしょう。
我々は自分の力で生活していると思っていませんか。この事について考えてみましょう。
自転車がうまく走るのは、小学生でも知っているように、車が輪になっているからです。この輪のどこかがつながっていなかったらうまく走りません。
我々の生活にもそれと同じではないでしょうか。
自転車が自分のものになり楽しく乗ることができるためには、自転車を販売する人、そこへ運んでくる人、その前に部品を作る人、組み立てる人、どうしたら楽しく走れるか研究する人、乗った人が乗り具合を報告する。ということがうまく輪になってつながっていなければいけません。
まだあります。誰でも食事をします。食料を生産する人も関係しています。
食料といえば野菜、果物、動物が我々の食料です。
小さい時から生き物を殺してはいけないと言われ続けています。その時の生き物は、ほとんどの場合動物です。しかしよく考えると野菜や果物にも命はあるのです。人間は他の生き物の命をもらわないと生きていけないのです。
したがって、すみません植物さん、動物さんあなたの命を頂かせてください。そのかわりにあなたたちの命を無駄にしません。有り難うございます。という心を忘れてはいけません。
このように自分の力で生活していると思っていても周りのすべてのもののおかげで成り立っているのです。
だからお互いがお互いに感謝し合い、ほめ合うそういう気持ちの中で「自分をほめてあげたい。」でなければならないのだろうと思います。