浄土宗神奈川教区テレホン法話 第700話
明けましておめでとうございます。
新年を迎え、昨年は世紀末、今年は21世紀の幕開けと、テレビやラジオで大騒ぎをしていましたが、しかし同時に悪質な事件や信じられない出来事もよく報道されていたのには残念に思います。
「もう神も仏もない」と叫びたくなりますが、その力を必要とする人は大勢おり、年末年始、各寺院・神社・教会など、それぞれ色々な思いを託してお参りをされた事と思います。
そして何よりも皆様はその中で菩提寺のお参り、ご先祖さまのお墓参りを一番大切にしていらっしゃるのではないでしょうか。この節目にご先祖さまに今の気持ちを、ご報告されることはとても良いことです。
昨年の成人式の日のことですが、お檀家のあるご夫婦がお酒とたばこをもってお墓参りにみえました。私はお線香に火をつけていると、そのご夫婦は恥ずかしそうに、「実は今日長男が成人式を迎えたので、そのお祝いにお墓参りに来ました。お酒とたばこを20才の記念にお供えさせてもらえませんか。」と、私はその時、14才で亡くされた息子さまのお墓参りと承知していましたが、尋ねられてはじめて「そうか」と気が付き思わず胸がつまるような思いをさせられました。
私は心から愛する子供への思いと深い親子の絆を感じ、その息子さまも、そして阿弥陀さまも、いっしょになって喜んでいらっしゃると確信いたしました。
それは、お浄土におられるみ仏さまも、この娑婆に生かさせて頂いている私達も共に生き、お互いの世界から見つめ合わせて頂いて、阿弥陀経に説かれている「倶会一処」のお言葉の通り、必ずお浄土で再会する日を信じさせて頂いているからです。
今年も1年、ご先祖さま、阿弥陀さまとお念仏を申して、いつもよりどころとして素敵な関係でいられたらと願うばかりです。