浄土宗神奈川教区テレホン法話 第708話
21世紀を迎え早くも3ヶ月が過ぎようとしております。
昨年は「世紀末、世紀末」と言われ、嫌な事件がたくさん起こりました。特に目立つたのは17歳の未成年者の事件でした。人に迷惑をかけなけれぱ何をしても良いのだと、道端に座り込んだり煙草を吸ったりと迷惑をかける事の意味を取り違えていたり、またチョットした事ですぐ切れ人を傷つけたり、簡単に人を殺してしまう。何故この様な事件が増えてきてしまっているのでしょうか?
一つには子供の頃の心の教育に問題があるのではないでしょうか。鎌倉の大本山光明寺に於いて毎年7月の終わりに夏期僧堂と言う行事が行われております。主にお寺の子供達やその友達を集めて2泊3日で佛教の勉強をするのですが、2〜3年前のある年の事、地獄と極楽の紙芝居が終わった後に、小学校4年生の女の子に「紙芝居どうだった」と尋ねると、「地獄の話の時怖くて怖くてずーっと南無阿弥陀仏・南無阿弥陀仏と称えていたよ」と言われました。「へぇ、今の子でも地獄を怖がるのか」。それがその時の感想でした。
今の子供達はテレビや漫画・ゲーム等から色々な知識や情報を得ています。しかしその知識や情報が余りにも多い為に良い事なのか悪い事なのかの判断がまだ付けられないでいるのも今の子供達の様な気がします。
私達は子供の頃「悪い事をすると地獄に落ちるよ」とか「嘘をつくと閻魔様に舌を抜かれるよ」とか言われ、子供心に怖かったのを覚えています。今の子供達の心も私達が子供の頃と変わりは無いのではないでしょうか。その心が清らかな内に私達は子供達に正しい事と悪い事の区別を、きちんと教えなければならないと思います。
今の親や学校は教育の「教」の部分の教えると言う事は一生懸命にやるのですが、「育」の部分の育てると言う事を忘れてしまっているような気がします。
悪い事をした時に自分の感情でただ闇雲に怒るのではなく、叱る事、しつける事、きちんとした教育の育てるという事をもう一度考え直すべきではないでしょうか。