浄土宗神奈川教区テレホン法話 第766話
仏教って、お葬式や法事、お墓参りをすることでしょうか。勿論大切なことですが、これだけではないようです。仏教はお釈迦様が説かれた教えのことで、数え切れない教えが遠くインドから中国、朝鮮半島を経て、日本に伝わりました。仏教を一口で説明することは到底できませんが、私は「今をしっかり生きていく教え」と考えています。人として生命を授かり、毎日をしっかり生きていくことは当たり前のこと、だと言われる方も多いことでしょう。だが、ずっとその気持ちを持ち続けるのはかなり難しいと思います。なぜならば私達の心には、あれが欲しい、これも欲しい。あいつが悪い、こいつが悪い。挙げ句の果てに自分だけでなく、他人の心や生命を傷付けてしまうような愚かな心が存在するからです。目先の誘惑や欲望に心が奪われていると、家族との生活、日々の仕事や勉強も薄ぺらな内容になってしまわないでしょうか。こんな時はご先祖様に手を合わす生活など忘れているに違いありません。目先の利益のみに溺れた生活など長続きするはずはなく、いずれ自滅する時がやってきます。それよりも今、自分にできる範囲でしっかり大地に足を踏ん張って努力する心を持ち続けることの方がずっと大切です。「人は生きてきたように死ぬる」と言われています。阿弥陀様のお迎があった時、あれこれ想い悩む事の多い日々よりも、今を精いっぱい生きていてこそ心安らかに往生ができるのではないでしょうか。「今日一日気持ち良く生活しよう。今日一日気持ち良く生活ができた」と朝に夕にお念仏を申しましょう。その時自分一人で生きているのではなく、たくさんの人や物のお陰で今の自分があることに気付かされるはずです。「南無阿弥陀仏」とお念仏をお唱えするその時こそ、充実した幸福な時間であり、今をしっかり生きていることが実感できるのではないでしょうか。ここに仏様が説かれた教えがあると思い、日々お念仏をお唱えしましょう。