浄土宗神奈川教区テレホン法話 第805話

 あなたは、食事の前に「いただきます」を、そして食事が済んだら「ごちそうさま」と、きちんと言っていますか。
 「いただきます」のいただくとは、頂上という意味です。この場合は頭の上ということで、大切な物を貰う時、頭上にあげて感謝することなのです。さらに、ここで言う頂くとは、単に食事をするのではなく、他の生き物の命を頂くという意味が含まれています。
 私達人間や、この世に生かされているものは、他の命を頂かなければ生きられません。今日の食卓に並んでいる食材は、もしかすると、昨日まで牧場に親子で居た牛や、川や海を自由に泳ぎ回っていた魚かもしれません。お米や野菜もそうです。せっかく自然の恵みを受けて育ったところを刈り取られて、私達の口に入ります。これらの食物は育てる肥料の中にも多くの命が含まれているのです。
 ですから、私達はその頂いた命の分まで、健康で元気な体をつくり、常に謙虚さを忘れず、そして何より、苦しみや悲しみに直面した時、負けない強い心を持つことが大切なのです。
 「ごちそうさま」というのはどうでしょうか。漢字で書くと、その中の馳という字は、走るとか走り回わるという意味があります。
 食事を作る為には材料が必要です。今はスーパー等で一度に買うことが出来ますが、昔は、食材を集めるのに馬を走らせ大変なことだったのでしょう。
 ということから、「いただきます」は、私達に大切な命を提供してくれた生き物に、「ごちそうさま」は、その材料を苦労して集め、調理して下さった方に対して、感謝を表す言葉と言えます。
 これからは、食事をする前にしっかりと手を合わせ、「あなたの命を頂きます」という感謝の心を込め、十念をお誦えして、出された料理を味わって下さい。

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