浄土宗神奈川教区テレホン法話 第836話
連日連夜の猛暑が過ぎ、秋の音色が涼しさを一層際立たせる様になりました。秋といいますと「読書の秋」「スポーツの秋」、何をするにもとても過ごしやすい時期でございます。中には「食欲の秋」という方もいらっしゃるかと思います。
浄土宗では秋といいますと、お十夜法要です。
お十夜法要といいますのは、仏様の御説きになられました『無量寿経』というお経の中で、「この世で十日十夜、善行、つまり善い行いを修すれば、他の色々な仏様がいらっしゃる国で、千年間の修行を行うよりも優れた功徳が得られる」と言われております。そして、もっとも優れた善行こそがお念仏ということから、十夜のお念仏が行われるようになったのです。
元々は、この季節に限って行われていたものではなかったようですが、いつしか、天地の恵みによる感謝と、十夜のお念仏の功徳の感謝とがそれぞれ結びつき、調度この秋の収穫時季に、お十夜法要が行われるようになったのです。
お十夜法要は、この神奈川でもとても盛んでございまして、その最たる場所が、この浄土宗における大本山であり、お十夜法要の発祥の地でもあります、鎌倉の光明寺様でございます。各お寺さんから沢山のお坊様方が集まり、僧俗一体で厳修されております。法要ともうしますと、何か堅苦しいイメージがあるという方もいらっしゃると思いますが、簡単にいいますと「お祭り」という意味もございます。つまり、私たちが生活していく上で、必要な物を与えてくださいます大自然への感謝の「お祭り」でもあるのです。私たちは、沢山の生命を頂いて豊に暮らしていくことができます。この感謝の心を忘れてはなりません。そして、生命をいただいて生きていくこの私たちをいつでも守り、導き、育ててくれるのが阿弥陀様です。
どうぞこのお十夜を機会に日頃なかなか出来ません、感謝の気持ちを込めてお念仏をお唱えしてみては如何でしょうか。
「読書の秋」「食欲の秋」でもありますが、まず「お念仏の秋」であるということです。