浄土宗神奈川教区テレホン法話 第855話

 ここ最近、家を離れて仕事や研修で遠出する時、今日はどこどこのホテルに泊まるよとか、誰々の家にやっかいになるよとか、行く場所は告げても宿泊場所までいちいち告げていない自分に気づきました。
 携帯電話を持つようになったからであります。
 確かに、これまでは宿泊場所の名前や住所、電話番号をメモして渡したりしておりました。
 しかし、今は「何かあったら携帯電話に電話して」などと言って、はっきりとした目的地も告げずに出かけることが多くなりました。
 つい先日も、いつものように出ておりましたら、たまたま家の方に電話がありました。
 ところが、家の者は今回はどこへ出向いているか混乱してしまったのです。
 何度か出たり入ったりをくり返しておりましたから無理も無いのですが、その時、改めて行く先を最近明確にしてなかった点、全て携帯電話にまかせていた点に気づいた次第です。
 やはり出かける者も目的地は、はっきりせねばならないとつくづく思わせていただきました。
 お念仏の信仰をいただく場合もまたしかりでありましょう。
 目的地をまちがいなく西方極楽浄土と決め、お念仏をお称えすれば、阿弥陀様がちゃんと迎えて下さいます。
 送る側としても、目的地があり行かれた所が明確にわかればこそ、安心してこの世を過ごし、いずれそこへ向かわさせていただけます。
 参らせていただく明確な所があるということがいかに有難く尊いものなのかしみじみ感じることでございます。
 どうぞお念仏をお称えし、目的地、西方極楽浄土に思いを運んで日々お暮らし下さいますよう願っております。

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